Page 23 - 西の湖10周年 HTML5
P. 23
<はじめに>
「西の湖ヨシ灯り展」の歩みを、事務局長棚橋敏彦さんの資料を参考に紹介する。
この企画は、「平成18年、竹田勝博氏の発起により実行委員会を立ち上げ成安造形大学、安土町、東近江水環
境、ヨシ刈りボランティアなどのメンバーでスタート」とある。
第1回は、平成19年10月6日~8日(3日間)。 表彰は、知事賞・安土町長賞・理事長賞各一点。努力賞7点。審
査は成安造形大学 礒野英生教授。
平成20年、第2回は、西の湖ラムサール湿地条約に登録されるプレイベントとして嘉田由紀子知事が出席してく
ださる。展示数 94点。
第4回は、平成22年、安土町が近江八幡市と合併したことを契機に、奥田憲夫会長・棚橋局長が市内への小学
校を訪れ作品制作依頼をされる。
同時に、成安造形大学の立神まさ子先生と大学生による「学校訪問作品づくり」授業がはじまる。
第6回から、地元の老人クラブやサロンの有志の方々による作品展示はじまる。また、ヨシ船も特別に展示された。
この頃から、ヨシペン画教室、ヨシ笛コンサート、西の湖観察会(和船)などのイベントも開催される。
第7回から、安土学区まちづくり協議会を中心に「ヨシ灯り展実行委員会」が組織され、
小学校での作品制作だけでなく、市内のコミセンにおいて、夏休みに制作される動きが出てきた。この指導者とし
て、成安造形大学の立神先生の他、真田陽子さん(よし留)・浅野洋治さんが加わって制作をサポート。
第9回には、京都伏見の団体の作品展示、第10回には、栃木県小山市からの視察、和光大学や大阪市立大学の
学生がボランティア参加して,全国に広まってきている。
<実行委員のつぶやき>
この「西の湖ヨシ灯り展」は、おそらく日本でただ一つのイベントではないかと思います。日本一の琵琶湖。その最
大の内湖である西の湖。そこには、雄大なヨシ群生地がある。
春3月、芽吹いたヨシの芽をそろえるべくヨシ焼きの煙が内湖にたなびく。6月、ぐんぐんと伸びる青いヨシ。そこに
「ヨシキリ雀」が飛来してきて卵を産む。猛暑の8月、巣立ちしたツバメが葦原に「お宿」として過ごし、秋風と共に南
国への3千㎞の旅立ち。やがて、11月、ヨシは、樺色に変わり、穂をたなびかせ、刈り取りを待つ。北風が吹きあれ、
雪の重さに耐えて1月からのヨシ刈りを待つ。その自然のサイクルと人々の生業を身近に感じるような仕掛けをこの
「ヨシ灯り展」は子ども達や我々にしてくれる。
ヨシ灯り展の「造形作品」の材料は、この「固い」「丸い」「棒」のヨシを素材とする。この素材を使っての作業は、造
形の創造的な世界に誘ってくれる。また、仕事を通じて「琵琶湖」「故郷」を手触りによって体験する。さらに、「環境
教育」にも話が及ぶ。自治会やサロン、老人会で取り組まれる「作り物づくり」には、地域のつながりや人と人の語
らいがもたらされる。
<課題>
作品が400点を超え、西の湖畔の「よしきりの池」という自然の中での美術展であるため、天候や風雨への対応。
また、訪れる人々が3000人を越える展示会になり、しかも、夜間が多くなり、交通安全面の危機対応が、大きな課
題でもある。
また、この400点にも及ぶ作品づくりへの指導者育成、事前準備や事後後始末のボランティアの確保である。さら
に、実行委員会の高齢化。
これらの課題を乗り越えていき、次年度へのつなぐ取り組みを暗中模索。
最後に、西の湖ヨシ灯り展への趣旨に賛同して戴き、金銭的な援助をして戴いている企業・団体、個人の方々に
感謝申し上げます。
西の湖ヨシ灯り展実行委員会 木野 和也
20