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今年も西の湖に小さな灯り群がきらきらと展示されました。第10回を迎えるヨシ灯り展は開催を
重ねる毎に盛況な作品展となり、今や安土という土地に根付く地域の大切なイベントの一つとなり
ました。安土の地を発信源に、土地の素材であるヨシを使って灯りの作品展を開きたいという発想
は、ヨシを生業とし西の湖のヨシ原を先祖代々守り続けておられる竹田勝博さんの強い思いから
始まりました。竹田さんの思いは、地域に住む子どもたちに身近な素材のヨシを使った灯りの作品
づくりを通して、自分の身の回りにある環境を知り、学び、創造することです。あわせて、その素材
の「素晴らしさ」「大切さ」を知ってもらい環境教育につなげることに大きな意味をもっています。そ
して、この「ヨシ灯り展」は全国唯一の貴重な作品展に成長してきました。
子どもたちの作品は、各自治体のコミュニティセンターや小学校を母体に制作され、毎年2.3
カ所にワークショップという形で作品作りの指導に大学から学生たちとともに協力させていただい
ています。45㎝角の作品台に、ヨシをランプシェードとして制作する。約三時間の短い制作時間
ですが、子どもたちは色んなイメージや思いを形に、ヨシは植物から素材となり作品にしていく、
その創作意欲は本当に旺盛で、芸術という世界が日常にある私たちでさえ、その豊かな表現力
に刺激をもらう一瞬に立ち会える、魅力的な時間となります。
第一回ヨシ灯り展で作品を作ってくれた6年生は、今や22歳!今年は作品展に仲良く手をつ
ないだ若いカップルの姿も多く見られました。もしかしたら、この中に昔作品を作ってくれた子供
がいるかも?などと想像を巡らせました。10年という歳月を振り返ると、ご尽力されてこられた熱き
安土の関係者皆様の思いが作り上げた「珠玉の作品展」にこみ上げてくる何ともいえない感情が
溢れました。
最後ではございますが、この作品展に関わらせていただいたことに感謝を申し上げるとともに、
長きにわたりヨシを提供くださっている竹田さんをはじめこの10年事務局として運営を支えてくだ
さった棚橋さん、そして今まで開催にご協力いただきました全ての皆様にお礼申し上げます。
平成28年11月
成安造形大学 立神まさ子